しもは激怒した。
かの邪知暴虐のレポートを提出せねばならぬと決心した。
しもはレポートの書き方がわからぬ。
しもは文化局のあるサークルに属している若者である。
時刻は午前中、レポートを仕上げたしもと友人は、提出先である新4号館114へ向かった。
今日の十七時までとかマジキチだよな。と友人と話しながら114へ向かうと、鍵が開いてないのである。
しもは激怒した。
「おどろいた。S教授は乱心か?」
「すけじうる表には在室とあるが…」
「たしか今日は就活セミナーが午前中にあったな」
「それだ。きっとそれに出ておられるのだろう」
「しかしあれは1コマ目の時間だけだ。1コマ目が終わって一時間も時が経っているのに、なぜS教授はおられないのだ」
しもと友人は激怒した。
ネクサス4階学務部へ向かった。
「S教授はいつ114へお帰りになる」
「わからぬ」
「しらばくれるつもりか!言え!単位がかかっておるのだ!」
「そんなに知りたければ新4号館5階学務を尋ねよ」
しもと友人は激怒した。
新4号館5階学務へ向かった。
「S教授はいつ114へお帰りになる」
「わからぬ」
「…ネクサスでも追われた我々に単位はないのか神よ」
「預かっておくことはできる。114前の伝達掲示板に事の終始を記せ。その後、そのレポートをS教授に渡す。行け!」
しもと友人は走った。
突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。
「待て。」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに114へ行き、5階学務へ行かなければならぬ。放せ。」
「どっこい放さぬ。レポートを置いて行け。」
「私には単位の他には何も無い。その、たった一つの単位も、これから卒業にくれてやるのだ。」
「その、単位が欲しいのだ。」
「さては、S教授の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」
山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒(こんぼう)を振り挙げた。しもと友人はひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが単位のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙(すき)に、さっさと走ってを114を目指した。
しもと友人は疲労困憊していた。
盥回しにされた挙句、結局114へ戻ってきたのだ。
やり場のない怒りだけが、心に漂っていた。
しもは殴り書きした。
「S教授よ、我はしもなり。11時半頃にレポートを出しにきたら、114が閉まっていた。あんまりだ。我々を蹂躙した罪は重いぞ。おぬしも我らと同じ苦しみを味わえ!」
しもと友人は帰宅した。
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